保険診療による矯正の条件
矯正治療の一般的には健康保険は適用されていませんが、口蓋裂や口唇裂などの先天的な咬合異常の場合と外科的な治療が必要な顎変形症は健康保険の適用が可能な矯正治療となります。
当院ではこれらの治療が保険適用できる自立支援医療(育成・厚生医療)指定機関および、顎口腔機能診断施設です。
口唇裂・口蓋裂など先天異常をともなう矯正治療
口唇裂・口蓋裂とは、唇や上顎が結合せず割れてしまう病気で、日本人の場合、500~600人に1人の割合で出生するといわれています。生まれてくる時に割れていた口唇や口蓋を手術で縫い合わせることにより、上顎骨の成長が邪魔されたり、破裂部位の永久歯が欠如して歯列不正が生じたりした場合には、矯正治療が必要になります。
口唇裂・口蓋裂の患者様の場合、保険を扱っている矯正歯科医院を受診すれば保険での治療が可能です。
また、育成更正医療指定機関や顎口腔機能診断施設指定機関に指定されている歯科医院で治療した場合には、自己負担分についても自治体からの補助を受ける事ができます。自立支援医療(育成・厚生医療)の指定を受ける医院で治療されると、自治体から治療費の補助があります。
顎変形症で外科処置をともなう矯正治療
上下骨格のズレが大きすぎて咬み合わせが不正になった状態で、反対咬合、開咬、顔面のゆがみなどの症状として現れた場合には、歯を移動(矯正治療)と外科手術を組み合わせて対処します。
当院は、顎口腔機能診断施設です。顎変形症など外科手術をともなう矯正治療には、健康保険が適応されます。
育成・更生医療機関について
育成更正医療指定機関とは、厚生労働省から認定を受けた医療機関の事で、身体上の障害を軽減し、日常生活を容易にするための治療を受ける事ができる医療機関です。児童の場合は育成医療機関での受診となり、成人の場合は更正医療機関での受診となります。
更生医療指定機関に認定された機関は、厚生労働省の設けた基準(設備・人材など)をクリアしている医院のみ認定されます。
管轄の保健所又は福祉課で、指定機関についてのお問い合せや補助金の申請手続きを受け付けています。
矯正歯科治療における一般的なリスク・副作用
- 治療期間は個人差が大きく出ます。
- 矯正治療は歯を支える骨の代謝をコントロールして歯を移動させます。
そのため、治療の初期(1週間程度)には顎の部分に痛み、熱感、倦怠感などを生じ、食事がしにくくなることがありますが、だんだんと軽くなります。痛みの程度には個人差があります。 - 矯正治療による歯根吸収(歯根が短くなること)が生じる場合があります。
- 矯正装置による歯肉退縮(はぐきが下がること)が生じる場合があります。
歯茎が下がると、歯が長く見えたり、歯と歯の間に隙間が出てきて黒く見えることがあります。 - 矯正装置による口内炎が生じる場合があります。
- 矯正装置により歯磨きがしにくくなり、虫歯および歯周病になるリスクがあります。
- 痛み止めなどの薬の服用は、歯の移動を阻害することがあります。
- 歯周病や根の先に感染症があると、悪化することがあります。
- 顎関節症があると、悪化することがあります。
- 骨や内分泌系の疾患があると、治療期間が延びる可能性があります。
- 本人に取り外していただく装置を使用することがあります。
医師の指示通りに使用しない場合には歯並びの改善が困難になることがあります。 - 治療後のリテーナーの仕様が不十分な場合、歯列が後戻りすることがあります。
- 治療後には中、長期的に見て生理的な変化があります。
これは、矯正治療の後戻りとは異なり、新たに獲得した噛み合わせび自然な変化です。
矯正治療を行わない人にも必ず噛み合わせの変化は起こります。 - 遺伝性、骨格性の不正咬合の場合には、個々の成長能力により症状が再発することもあります。
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